母子内転筋横頭が歩行機能に与える影響とトレーニング効果
母趾内転筋横頭が歩行機能に与える影響とトレーニング効果
中村 賢治¹、山中 保²、高橋 大吾²、高橋 毅²
¹高崎健康福祉大学
²株式会社BMZ
【背景と目的】
近年、運動習慣の低下により筋量の減少や浮指の増加が問題視されている。足は複雑な形状をしており個人差が大きく、靴やインソールが合わない場合、歩行機能に障害をきたすことがある。
そこで、インソールに母趾内転筋横頭の部位にアーチ構造を設けることで、筋への刺激を促し、トレーニング効果や歩行機能の改善が得られるのではないかと考えた。また、立方骨にアーチを形成し足首の可動域を広げる構造に関して特許を有する株式会社BMZと連携し、試作インソールを作成した。本研究ではそのトレーニング効果を検証した。
【実験手法】
■ 被験者
40名(男性20名、女性20名)、年齢20~60歳の男女
■ 使用機器
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フットスキャン(足底の3Dスキャンによる指の接地率判定)
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INBODY570(体組成計:筋量・脂肪量の測定)
■ 方法
被験者に母趾内転筋横頭部にアーチを設けた試作インソールを3ヶ月間継続装着してもらい、装着前後で以下を測定した。
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体重・骨格筋量・体幹筋量(INBODY570)
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指の接地面積(フットスキャン)
イメージ1に試作インソールのアーチ構造を、イメージ2に足底のフットスキャナーの使用風景を示す。
【結果と考察】
3ヶ月間のインソール装着によって以下の結果が得られた。
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体重の減少および骨格筋量の増加:
40人中36人において体重が減少し、骨格筋量が増加した。 -
浮指の改善:
40人中39人において指の接地面積が増加し、浮指が改善された。 -
体幹筋量の増加:
40人中20人において体幹筋が増加した。
これらの結果から、母趾内転筋横頭にアーチを設けることにより、足部への適切な刺激が加わり、トレーニング効果と歩行機能の改善が得られると考えられる。
下記にインソール装着前のフットスキャン画像、装着3ヶ月後の画像を示す。指の白く表示された部分が床への接地面であり、有意な改善が確認された。
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イメージ1: 試作インソールのアーチ構造
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イメージ2: 足底のフットスキャナー